オプジーボ®(ニボルマブ)

 オプジーボ®(ニボルマブ)は悪性黒色腫(皮膚がんの一種)の治療薬として認可され、最近では非小細胞肺癌に対する適応も承認されました。米国ではこれらの他に腎細胞癌に対する適応もされています。その他のがんに対する臨床試験も世界的に進行しており、オプジーボ®(ニボルマブ)は現在(2016年)最も注目を集めている医薬品の一つです。

オプジーボ®(ニボルマブ)は免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる分子標的薬に分類されます。同じ免疫チェックポイント阻害薬にヤーボイ®(イピリムマブ)があります。それでは、免疫チェックポイントとは何でしょうか?

これまでの研究からT細胞(およびNK細胞)上にはPD-1というタンパク質が発現していることが確認されています。PD-1はprogrammed death 1の略で元はT細胞がアポトーシスを起こすときにT細胞の細胞膜上に発現するタンパク質として発見されたため、このような名前がついています。

一方、このPD-1のリガンドであるPD-L1は樹状細胞に発現しています。そして、T細胞上のPD-1と樹状細胞のPD-L1とが結合するとT細胞の活動が抑えられることがわかっています。

チェックポイントとは「検問所」という意味があり、樹状細胞はT細胞が不必要に活性化していないかをPD-1/PD-L1の相互作用によって確認しているというというわけです。

PD-1/PD-L1によるT細胞活性化の抑制

図 PD-1/PD-L1によるT細胞活性化の抑制

 ところで、樹状細胞に発現しているPD-L1ですが、このPD-L1が様々ながん細胞にも発現していることが判ってきました。それでは、がん細胞にPD-L1が発現していると一体どうなるのでしょうか?


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キラーT細胞は、がん細胞を異物とみなすとキラーT細胞はがん細胞に攻撃を始めます。ところががん細胞にPD-L1が発現していると、先ほどの樹状細胞との関係と同じように、キラーT細胞のPD-1とがん細胞のPD-L1との相互作用によってキラーT細胞の活動が抑制されてしまいます。がん細胞は自身にPD-L1を発現させることによって、免疫システムからの攻撃を免れているという見方もできるかと思います。

オプジーボ®(ニボルマブ)の作用機序

図 オプジーボ®(ニボルマブ)の作用機序

 それでは、このPD-1とPD-L1の相互作用を妨害してやればキラーT細胞のがん細胞に対する障害作用が抑制されるのを防ぐことができるのではないか、という発想で開発されたのがオプジーボ®(ニボルマブ)です。

オプジーボ®(ニボルマブ)は抗PD-1抗体であり、T細胞上のPD-1に特異的に結合しPD-L1との結合を阻害します。そうするとキラーT細胞の活動がPD-1/PD-L1の相互作用によって抑制されることが防がれ、がん細胞を効率よく攻撃できるようになるというわけです。

 同じ抗PD-1抗体としてキートルーダ®(ペンブロリズマブ)があります。こちらは米国では承認されていますが、日本では審査中(2015年12月承認申請)です。